2児のパパによる「日常を楽しむ情報」ブログ

今日もお疲れ様です。ここでは、2児(6歳/3歳)の子育て中の30代パパが、「日常を楽しみながら過ごす」ことをモットーとしたブログです。”子育て・仕事”に役立つ情報を、週3回(月・水・金)で発信します。

【第12回】マクロ経済学(開放経済)

 今までは閉鎖経済において短期と長期に市場を分けて整理してきました。しかし、現実世界は他国との貿易があり、経済に大きく影響を与えています。今回は開放経済の中で、長期と短期がどのようになるのか整理したいと思います。

 

1 閉鎖経済から開放経済(長期)

 ・閉鎖経済の場合

  生産と支出が一致(Y=C+I+G)

  貯蓄(S)と投資(I)が一致(I(r)=YーCーG=S)するよう利子率が決定

 ・開放経済の場合

  →生産と支出が一致するとは限らない

   Y=C+I+G+NX(=X-M)

  →貯蓄(S)と投資(I)が一致するとは限らない

   NX=(YーCーG)-I=S-I

 ・仮定:小国開放経済と完全に自由な資本移動

  ①国内債券と外国債券が完全代替

  ②完全な資本移動性:資産の国際取引に制限がない

  ③小国:世界利子率(r*)に影響を与えることはできない

   r*は外国(大国)のISバランス等によって決定

   ※r*は外生変数、「r=r*」となるまで資本が調整

 ・小国開放経済モデルの体系

  →生産 Y=f(K,L)

  →消費 C=C(Y-T)

  →投資 I=I(r)

  →貯蓄 S=Y-C-G

  →政府支出(G)、租税(T)は一定

  →純輸出 NX=(Y-C-G)-I=S-I

  →利子率 r=r*

 ・NX=(Y-C-G)-I(r*)=S-I(r*)

  貿易収支は世界利子率(に対応する貯蓄と投資の差額)で決まる

  ※投資(I)は利子率の減少関数

  ※貯蓄(S)は一定

  ※閉鎖経済であれば、S=Iとなる水準で利子率が決定

  ※小国開放経済では、r=r*

  ※投資はI(r*)で決定

 ・当初経済は貿易収支均衡(NX=0、I=S)の状態にあったものとする

  政府が支出(G)を増加させる

  →Sが減少し、貯蓄曲線は左シフト

   利子率がr*なので、投資は不変

  →S<IなのでNX<0、つまり貿易赤字が生じる

 ・外国(大国)の財政政策の効果

  外国が財政支出を増加させる

  →世界経済全体の貯蓄が減少し、世界利子率(r*)が上昇

   投資は減少、一方で貯蓄は不変

  →S>IなのでNX>0、つまり貿易黒字が生じる

 ・投資需要変化の効果

  投資税制の変更などにより企業の投資意欲が増大すると

  →投資曲線が右シフト(世界利子率は不変)

   投資はI(r*)へ増加、一方で貯蓄は不変

  →S<IなのでNX<0、つまり貿易赤字が生じる

 ・貿易赤字は悪か

  →貿易赤字の要因(S<I)は、途上国ではあり得る(投資資金を海外から借入)

  →マネーサプライ(M)が増えることは、それだけ消費も増える

   =内需が増加しYが増えることが多いので、悪とは言い切れない

 

2 為替レート

 ・名目為替レート(e):異なる通貨の相対価格

 ・実質為替レート(ε):異なる国の財の相対価格

             (ある財の海外製品価格と自国製品価格の相対価格)

  例)ある車が、米国:2.5万ドル 日本:400万円で販売

    名目為替レートが”1ドル80円”の場合

    →米国の2.5万ドル=2000万円

    →実質為替レート(ε)=米国の価格/日本の価格=0.5

    (日本の車1台の値段は、米国の車2台分の価値)

 ・実質為替レート(ε)=名目為替レート(e)×外国の物価水準/自国の物価水準

  →実質為替レートが高い:自国製品は輸出競争力がある

  →実質為替レートが低い:自国製品は輸出競争力が弱い

 ・純輸出と実質為替レート

  実質為替レート(ε)が高くなる=自国製品が安くなり純輸出が増加

  →純輸出(N X)は実質為替レート(ε)の増加関数

   NX=0、S-I=0 の水準で実質為替レートが決定

 ・政府支出(G)が増加するとSが減少

  →S-I曲線が左シフト、実質為替レート(ε)低下、純輸出(NX)減少

 ・外国が財政支出を増加させると、世界利子率(r*)が上昇

  国内利子率が上昇(r=r*)、貯蓄は不変

  →S-I曲線が右シフト、実質為替レート(ε)上昇、純輸出(N X)増加

 ・投資需要変化の効果

  投資税制の変更などにより企業の投資意欲が増大すると投資増加するが貯蓄は不変

  →S-I曲線が左シフト、実質為替レート(ε)低下、純輸出(NX)減少

 ・保護貿易政策の効果

  保護貿易政策によりマネーサプライ(M)減少し、NX(ε)曲線が右シフト

  →実質為替レート(ε)低下、純輸出(NX)不変、貿易量は減少

   ※「NX=X-M」が不変のため、Xも減少

 ・名目為替レートは実質為替レートと両国の物価水準に依存

  →インフレ率が高い国ほど名目為替レートが上昇

  (二国間通貨の名目為替レート=実質為替レート変化率-両国のインフレ率)

 ・金融政策と名目為替レート

  マネーサプライ(M)増加により、インフレ率(π)が他国と比べ上昇

  (名目為替レート(e)変化率=実質為替レート(ε)変化率+(π-π*))

  →名目為替レート上昇、自国通貨が減価

  ※長期では貨幣数量説(MV=PY)でMが増えるとVとYが一定ならPが増える

   Pが増えるということは、インフレ率(π)も上昇

 ・変動相場制と固定相場制

  【固定相場制のメリット】

  ・為替レートの不確実性を避け、国際的な取引を容易化

  ・金融政策の自己抑制を課しマネーサプライの過度の増大回避に資する

  【変動相場制のメリット】

  ・金融政策の自由度を高め、為替以外の政策目標を追求可能

  →現実では両者の区別はない

   (固定相場制でも難しければ目標変更、変動相場制でも目標設定する)

 ・国際金融のトリレンマ

  「自由な資本移動」「独立した金融政策」「固定相場制」は全て同時実現できない

 

3 閉鎖経済から開放経済へ(短期)

 ・マンデル=フレミング・モデル

  長期の場合と同様に、小国開放経済の仮定(r=r*)

  短期のため、物価水準及び期待インフレ率は固定

  IS曲線とLM曲線をベースに、Yと名目為替レート(e)の関係を考える

   ※ISーLM曲線はYとrの関係

 ・財市場とIS曲線

  名目為替レート(e)が上昇すると、NXが上昇し所得(Y)が増加

  計画支出(P E)=C+I+G+NX(e)情報シフト、IS曲線は右上がりとなる

 ・貨幣市場とLM曲線

  貨幣市場の均衡(M/P=L(r*,Y))

  r*は一定(M、Pも)、Yは為替レートに依存しないため、LM曲線は垂直

 ・短期均衡:IS曲線とLM曲線の交点でYとeが決定

  IS曲線 Y=C(Y-T)+I(r*)+G+NX(e)

  LM曲線 M/P=L(r*,Y)

  →交点は所与のG、T、M、P、r*の元、IS~LMモデル均衡組合せ(Y,e)を示す

 ・変動為替相場制における財政政策の効果

  政府支出(G)を増やすと、IS曲線は右シフト

  →LM曲線は変化しないため、為替レート(e)下落、所得Y不変

  →資本移動が完全な小国開放経済の場合、財政政策は実質GDPに無効

   為替レートの上昇をもたらし、純輸出を減少させるなど効果をオフセット

 ・変動為替相場制における金融政策の効果

  マネーサプライを増やすとLM曲線は右シフト

  IS曲線は変化しないため、為替レート(e)上昇、所得Y増加

  →金融政策は利子率は一定だが為替レートと純輸出の変化を通じ実質GDPに有効

 ・変動為替相場制における保護貿易政策の効果

  輸入制限を行うと、NX増加しIS曲線は右シフト

  →LM曲線はシフトしないため、為替レート(e)下落、所得Y不変

   (純輸出は不変)

  →輸入制限しても純輸出は不変だが、貿易量は減少(輸出入が減少)

 ・固定為替相場制における小国開放経済

  為替レートを固定するために、中央銀行は貨幣供給量(M)管理しLM曲線を動かす

 ・固定為替相場制における財政政策の効果

  政府支出(G)を増やすと、IS曲線についてYが増え右シフト

  →eは下がる圧力が働くため、中央銀行がMを供給すべくLM曲線が右シフト

  →為替レート(e)不変、所得(Y)増加

 ・固定為替相場制における金融政策の効果

  Mを増やすとLM曲線についてYが増え右シフト

  →eが上がる圧力が働くため、中央銀行はMを減らすべくLM曲線が左シフト

  →為替レート(e)不変、所得(Y)不変

 ・固定為替相場制における保護貿易政策の効果

  輸入制限で為替レート(e)が下がる

  →eが一定になるよう中央銀行はMを増やすべくLM曲線が右シフト

  →為替レート(e)不変、所得(Y)増加、純輸出増加

 

 

 以上で、大凡のマクロ経済学を整理してきましたが、まだまだ実感を持って理解できている部分は少ないなと思いました。ですが、知っている中で社会経済を見るのと、知らずに社会経済を見るのとでは大きく違います。ニュースで聞く金融政策や財政政策も、今後は「やっぱりそうなるよな」と思えると実感しています。

 また機会があれば、今度はミクロ経済学を整理しようと思っていますので、よろしくお願いいたします。