2児のパパによる「日常を楽しむ情報」ブログ

今日もお疲れ様です。ここでは、2児(6歳/3歳)の子育て中の30代パパが、「日常を楽しみながら過ごす」ことをモットーとしたブログです。”子育て・仕事”に役立つ情報を、週3回(月・水・金)で発信します。

【第11回】マクロ経済学(総供給)

 今までは総需要曲線を拡張したISーLMモデルを整理してきましたが、今回は一度触れた総供給曲線を短期的経済変動で整理していきたいと思います。

 総需要曲線(AD)は、物価水準が低いほど需要は増えるので右下がりとなります。一方で総供給曲線は短期と長期に分けることができ、長期総供給曲線(LRAS)は生産水準(Y)は物価に一切依存せずに、資本(K)と労働(L)を全て使って決まるため、所得(Y)に対し垂直でした。短期総供給曲線(SRAS)は物価が一切変わらないので、企業は需要に応じて価格を所与として生産を行うため、物価に対し垂直でしたが、物価が一切変わらないことは現実世界ではあり得ないため、より現実的なSRASを考える必要性があります。

 

1 総供給(AS)曲線とADーASモデル

 ・短期総供給曲線は右上がり

   Y=Y+α(P-EP)

  ※左辺Y:生産

  ※右辺Y:生産の自然水準(Y=f(K,L))

  ※P:物価水準

  ※EP:期待物価水準

  ※α:予想外の物価変動にどの程度生産が反応するかを示す係数

    (α>0)

 ・短期においては、物価水準が生産に影響

  →P>EP 現実の物価が予想より高い = 生産は増える

  →P<EP  現実の物価が予想より低い = 生産が減る

 ・なぜ右上がりとなるか

  →経済における実際の物価水準が人々の期待する物価水準から乖離すると、

   供給量は長期的な供給量水準(自然産出量水準)から乖離するため

   (実際の物価水準が期待物価水準から乖離すると、

    短期的には価格が動かせないため、供給量で調整する)

 ①硬直賃金理論

  企業が予想した物価に基づき賃金を決定したが、予想より実際の物価は低い

  →賃金は急に変えられないので、労働者(生産)を減らす

  →長期的には労働交渉で賃金は物価水準に則して低下、生産は長期均衡へ

 ②硬直価格理論

  企業が予想した物価に基づき製品価格を決定したが、予想より実際の物価は低い

  →製品価格を全ての企業が下げられないため、販売高が減り生産を減らす

  →長期的には製品価格が実際の物価水準に則して低下、生産は長期均衡へ

 ③不完全情報モデル

  ある農産物の生産が上昇した時、その他農産物も上昇していても察知できない

  →生産者はその生産物の相対価格が上昇したと誤認し、生産を増やしてしまう

  →長期的には、このような誤認は発生しない

 ・短期と長期の総供給曲線

  物価期待(EP)が上昇すると、SRAS曲線は上方シフトする

  ※長期と短期の交点では、生産=自然生産となるため、PーEPがゼロになる

 ・政府支出が増加すると、総需要(AD)が右シフト

  →短期は、P>EPとなる(短期では、期待物価は不変)

   期待物価(EP)が上昇するため、SRASが上方シフト

  →LRASとの均衡点になり、生産は元に戻る(長期は資本tの労働で生産が決まる)

 ・財政政策や金融政策による総需要曲線のシフトでも、短期的には生産増加

  長期的には、SRASとLRASとADの交点にシフトし、生産は戻る

 

2 インフレ率と失業率の負の関係

 ・フィリップス曲線

  インフレ率と失業率の間の短期的な関係

  →失業率が高い年はインフレ率が低く、逆も然り(負の相関)

  =”失業率を下げる”と”インフレ率を下げる”はトレードオフ

  例)現在のアメリ

   インフレ率を抑えるために金利を上げているが、

  上げすぎると経済がリセッションし失業率が上がるため、上げ幅の調整が必要

 ・自然失業率

  (完全失業率)=安全失業者数/労働力人口

  失業率はゼロにはならない(自然失業率があるため)

  ※自発的失業(転職活動)がある

 ・フィリップス曲線の導出と性質

  インフレ率は3つの要因に依存

  期待インフレ率、循環的失業率(自然失業率からの乖離)、供給ショック

  →インフレ率(π)=期待インフレ率(Eπ)

          -β×循環的失業率(u-un)+供給ショック(v)

  短期総供給曲線(Y=Y-α(P-EP))に代入し変換

  ※P-P(-1)  現実のインフレ率(π)

  ※EP-P(-1)   期待インフレ率(Eπ)

  →オークンの法則(生産変化と失業率変化は逆相関)

   1/α (Y-Y)=-β(u-un )

 ・総需要のシフトと短期フィリップス曲線

  財政、金融政策で総需要を増やすことで、失業率を下げることができる

  (物価水準(P)が上がることは、インフレ率が上がることでもある)

 ・総需要のシフトと長期フィリップス曲線

  財政、金融政策で総需要を増やしても、失業率は下がらずインフレ率のみ上がる

 ・フィリップス曲線における2種類のインフレ

  →ディマンドプル・インフレーション

   総需要へのショックによるインフレ

   生産(Y)が増加し失業率が低下、インフレ率が上昇

  →コストプッシュ・インフレーション

   総供給へのショックによるインフレ(例)原油価格高騰

   vが変動

 ・期待インフレ率

  適応的期待:人が最近観察したインフレ率に基づいてインフレ期待を形成

        Eπ=π(-1)

  合理的期待:人は全ての利用可能な情報を利用して予想する

        「インフレ抑制宣言」で期待インフレ率が下がり、インフレが下がる

  →いずれにしても、政策は重要

   適応的期待を踏まえると、政策で早めにショックを和らげる必要

   合理的期待を踏まえると、政策コミュニケーションが重要

 

 短期市場を整理してきましたが、次回はいよいよ開放経済に触れていきたいと思います。