2児のパパによる「日常を楽しむ情報」ブログ

今日もお疲れ様です。ここでは、2児(6歳/3歳)の子育て中の30代パパが、「日常を楽しみながら過ごす」ことをモットーとしたブログです。”子育て・仕事”に役立つ情報を、週3回(月・水・金)で発信します。

【第8回】マクロ経済学(総需要)について

 前回は短期のADーASモデルに基づき供給面を見てきましたが、今回は需要面を見ていきます。マネーサプライの増減により総需要曲線は変化するなど金融政策が影響を与えることがわかりましたが、今回は総需要には金融政策と財政政策が影響を与えることを整理していきます。

 

1 ケインジアンと古典派

 ・古典派

  生産は労働と資本で決定(Y=f(K,L))

  労働の限界生産力は実質賃金と等しくなる(MPL=W/P)

  賃金が市場メカニズムに任せれば自然に下がるので、そこで需要と供給が決定

  →1930年代のアメリ大恐慌(失業率上昇とGDPマイナス成長)

  賃金が調整するという理論が通じないのではないか(神の見えざる手)

  →価格はすぐに動かないとする”ケインジアン”が出てくる

 ・ISーLMモデル

  価格が硬直的な短期において、どのように総需要曲線(AD)がシフトするか

  →IS(Investment Saving):財やサービス市場のモデル

   LM(Liquidity Money)  :貨幣市場のモデル

 ・ケインジアンの考え方

  需要重視(古典派:供給重視)

  短期視点で価格硬直的(古典派:長期視点で価格変動な市場任せ)

  不景気には政府は公共投資などすべき(古典派:ビルトインスタビライザー)

  ※ビルトインスタビライザー:財政制度に備わる景気変動の自動調整機能

  例)累進課税、失業手当

  →供給ショックの際に、マネーサプライを増加させることでADを右シフト

 

2 ケインズの交差図

 ・ケインズの考え

  短期において総所得は家計や企業、政府の計画支出(=需要)で決定する

  =不景気の時は、支出が足りないのではないか

  →計画支出と現実支出を区別する

   計画支出:家計や企業、政府が支出したい額

   現実支出:実際の家計や企業、政府の支出(=GDP

 ・計画支出(PE  Planned Expenditures)

  計画支出(PE)=家計消費(C)+企業投資(I)+政府支出(G)

  ※ I:政府が支出したいと考える投資額

  ※  G:政府が計画している購入額

  ※租税の水準(T)は外政的に固定とする

  →PE=C(YーT)+I+G 消費はYが増えるほど増えていく

  ケインズ型消費関数 C=Co+C1(Y-T)

  ※Co:基礎的消費(可処分所得0でも生存に必要となる消費)

  ※C1:限界消費性向(可処分所得1単位増加により増える消費)

 ・計画支出(PE)と所得や生産(Y)は三面等価の原則により一致する

  →PEの傾きは所得変化に対応する消費変化分(=限界消費性向MPC)に一致

 ・短期の均衡

  現実の支出(生産)が計画支出に等しい時、経済均衡(Y=PE)

  →需要よりも生産の方が少ない(均衡点の左側)=生産を増やす

  →需要よりも生産の方が多い(均衡点の右側)=生産を減らす

 ・政府支出が増える(Gが増加)

  →PEがG増加分だけ上方移動(YはG増加分よりも増加する)

  ※Gが増加するとYも増加する(Y=C+I+G)

   PE式内にもYが存在(PE=C(YーT)+I+G)

   Cの関数内にYがあるため消費が増えると、PEが増加する

   Cが増加するとYも増加する(その繰り返し)

  財政支出乗数:1単位の政府支出増加がもたらす所得増加の係数

   1/(1ーMPC)

    ※MPC(限界消費性向):所得が1単位増えた時にどれほど消費が増えるか

 ・減税すると(Tが減)

  可処分所得が増える(YーT)

  →消費が増加、所得増加、消費増加の繰り返し

 ・租税乗数

  増税及び減税と、政府支出は同時に行わない前提(Gは外生変数で所与)

  →1単位の増税(減税)がもたらす所得減少(増加)の係数

  (–MPC)/(1−MPC)

   ※Tを増やすことは増税であり経済に悪影響なのでマイナスがつく

 ・政府支出乗数の方が租税乗数よりも大きい

  ※GはYの一部(Y=C+I+G)のため、そのままYが増加

  ※Tは限界消費性向分でYを増やす(残りは貯蓄に回される)

  例)10万円給付

    最大10万円消費に回せるもので、GDP増も最大10万円

    しかし現実は貯蓄に多くを回している(限界消費性向分でGDP増加)

 ・増税した分だけGDPは下がる、一方で財政支出が増える

  →租税乗数+財政支出乗数=1(均衡財政乗数)

  公共事業を全額増税しても、公共事業分GDPが増えるはず(理論上)

  ※しかし、実際は公共投資が増えると将来の増税リスクを考慮し消費抑制

  ※在庫が計画支出に合わせて速やかに調整されず積み増しや取り崩しがある

 

3 IS曲線

 ・IS曲線

  投資(I)と貯蓄(S)が均衡する条件を、Y(所得)と金利(r)で示す

  ケインジアン交差図:企業投資(I)は所与と仮定しているが、

 実際は投資=貯蓄となるよう金利が決まるメカニズム

  →投資と金利の関係を追加し、均衡状態を示すIS曲線を出す

 ・投資(I)

  実質利子率の減少関数(金利上昇で投資減)

  ※実質利子率:インフレの影響を除去したもの

  ※名目利子率:通常示させる利子率

   →実質利子率=名目利子率-インフレ率

  IS曲線は、縦軸にPE横軸にYをとるグラフにおいて右下がりをとる

 ・IS曲線の意味

  財やサービス市場の短期的均衡を満たす実質利子率と生産(所得)水準の

 組み合わせ(Y=C(Y-T)+I(r)+G)(I(r)=S(Y))

 ・政府購入がGだけ増加

  計画支出増加によりYが増加、IS曲線はG増加分だけ右シフト

  →財やサービスへの需要増加になる財政政策の変化は、IS曲線を右シフト

  →財やサービスへの需要減少になる財政政策の変化は、IS曲線を左シフト

  ※政府支出の増減では利子率は変化しない

 

今回はIS曲線を整理しました。次回はLM曲線をまとめたいと思います。

ちなみに、投資決定は実質利子率を考慮して決定としましたが、他の理論では投資による将来の便益も合わせて考慮すべきとする考えもあり、そちらの方が自然な考え方だと思います。株を購入する時にも、現実の利子率だけでなく将来どれくらい利益が出るかが重要だと思います。