2児のパパによる「日常を楽しむ情報」ブログ

今日もお疲れ様です。ここでは、2児(6歳/3歳)の子育て中の30代パパが、「日常を楽しみながら過ごす」ことをモットーとしたブログです。”子育て・仕事”に役立つ情報を、週3回(月・水・金)で発信します。

【第10回】マクロ経済学(総需要)

 前回はISーLM曲線と総需要曲線を作りました。その上で、マネーサプライの増減による動きをみてきましたが、今回はその動きを「財政政策」や「金融政策」として整理したいと思います。

 

1 財政政策・金融政策

 ・財政政策の場合

 ・政府支出(G)を増やすと、どうなるか

  IS曲線のみが右シフト(シフト幅は政府支出乗数) ※IS曲線:Y=C(Y-T)+I(r)+G

   所得は増加、利子率は上昇

   ※Yの増加幅はISシフト幅より小さい(ケインジアン交差図)

  なぜ小さくなるのか

  ・IS市場 政府支出(G)増加→所得(Y)増加→消費(C)増加を繰り返し

  ・LM市場 所得(Y)増加→貨幣需要が増加

       マネーサプライは変化なく貨幣供給は一定なため利子率のみが上昇

  ・IS市場では利子率が上昇したため投資が減少

  →クラウディングアウトが発生(G増加→r増加→I減少)

 ・減税(Tを減らす)の場合はどうなるか

  IS曲線のみが右シフト(シフト幅は租税乗数)

   所得が増加、利子率が上昇

   ※Yの増加幅はISシフト幅より小さい(ケインジアン交差図)

  なぜ小さくなるのか

  ・IS市場 減税(T減少)→消費(C)増加→所得(Y)増加→消費増加の繰り返し

  ・LM市場 所得(Y)増加→貨幣需要が増加

       マネーサプライは変化なく貨幣供給は一定なため利子率のみが上昇

  ・IS市場では利子率が上昇したため投資が減少

  →クラウディングアウトが発生(G増加→r増加→I減少)

 ・金融政策の場合

 ・マネーサプライ増加の場合はどうなるか 

  →LM曲線のみ右シフト ※LM:M/P=L(r,Y)

   所得は増加、利子率は低下

  なぜか

  ・LM市場 貨幣供給(M)増加→個人の債券購入や預金を促進(利子率を活用)

        →利子率(r)低下

  ・IS市場 利子率低下→投資増加→所得増加 

 ・金融政策と財政政策の相互作用

  政策効果は他の政策動向に依存、例えば増税効果は金融政策に大きく影響      

  →中央銀行は「貨幣供給量を一定に保つ」、「利子率を一定に保つ」、

   「支出(=所得・生産)を一定に保つ」を選択する

  =ポリシーミックスを変えることで、異なる政策目標を達成可能

 ・増税効果

 ・中央銀行が貨幣供給量を一定に保つ場合

  政府が増税(Tが増加)すると、IS曲線のみが左シフト

  中央銀行はマネーサプライを一定に保つため、LM曲線は変わらない

  →所得(Y)は減少、利子率(r)は低下、消費(C)減少、投資(I)増加

   ※Yの減少はIの増加でほぼ相殺される

 ・中央銀行が利子率を一定に保つ場合

  政府が増税(Tが増加)すると、IS曲線が左シフト

  中央銀行は利子率を一定に保つため、LM曲線を左シフト(Mを減少)

  →所得(Y)減少、利子率(r)変化なし、消費(C)減少、投資(I)変化なし

 ・中央銀行が支出(=所得・生産)を一定に保つ場合

  政府が増税(Tが増加)すると、IS曲線のみが左シフト

  中央銀行はYを一定に保つため、LM曲線を右シフト(Mを増加)

  →所得(Y)変化なし、利子率(r)低下、消費(C)減少、投資(I)増加

   ※Yが変化しない分、Cの減少分とIの増加分が等しくなる

 ・アベノミクスを短期視点で捉えると

  増税(T増加)と政府支出(G増加)による財政政策と、

 マネーサプライ増加の金融政策が行われていた。

  →消費の減少分を政府支出でカバー、投資によりYの増加を図る

 ・IS曲線ショック 財・サービス市場への外生的ショック

          例)財政政策、海外の金融危機規制緩和による新需要など

 ・LM曲線ショック 貨幣市場への外生的ショック

          例)金融政策、クレジットカード規制

 

2 ISーLMモデルと総需要曲線

 ・総需要(AD)理論

  物価水準が一定である短期の国民所得についてISーLMモデルを見てきた

  では、物価水準が変化する場合は、IS-LMモデルはどのようになるか

  →物価水準(P)と所得(Y)の関係を総需要曲線として導き出す

 ・ISーLM曲線は物価が全く動かない状態の均衡だが、実際は物価が徐々に動く

  →物価水準が変化すると、LM曲線のみがシフトする

 ・物価上昇で実質貨幣残高(M/P)は減少し、LM曲線は左シフト

  →実質利子率(r)上昇、所得(Y)減少 =総需要曲線は右下がり

 ・財政政策:物価水準一定で政府支出(G)を増やす

  →IS曲線が右シフトし、所得(Y)が増加

   =総需要曲線は右シフト

 ・金融政策:物価水準一定でマネーサプライを増やす

  →LM曲線が右シフトし、所得(Y)が増加

   =総需要曲線は右シフト

 

3 短期と長期のISーLMモデル

 ・短期から長期への移行

  長期:供給曲線LRASは垂直(生産(Y)は硬直的、物価(P)は伸縮的)

  短期:供給曲線SRASは水平(生産(Y)は伸縮的、物価(P)は硬直的)

  →マネーサプライが減少すると、総需要曲線(AD)が左シフト

  →短期では、生産(Y)が減少し景気後退(物価水準(P)は変化なし)

  →長期では、時間経過とともにAD曲線上で物価水準(P)が下落

  →生産(Y)が徐々に増加し、自然水準に戻る

 ・ISーLMモデルの短期均衡と長期均衡

  【短期均衡】

   AD(総需要)=SRAS(短期総供給)

   AD(総需要)≠LRAS(長期総供給)かもしれない ※逆も然り

   →生産(所得)(Y)は潜在水準になるとは限らない

  【長期均衡】

   AD=SRAS

   AD=LRAS

   →価格(P)が変化し、生産(Y)は潜在水準に収束

 ・ケインジアンモデルと古典派モデルの比較

  IS曲線(財・サービス市場) Y=C(Y-T)+I(r)+G

  LM曲線(貨幣市場) M/P=L(r,Y)

  ※TとG、Mは政策変数であり外生(固定)

  ※Y、r、Pが内生変数であるため、その導出が必要

  →ケインジアンモデル:短期的には物価は一定

   Pは外生変数、Y,rが内生変数

  →古典派モデル:長期の生産はKとLで決まる

   Y=f(K,L)のためYは外生変数、rとPが内生変数

 

4 アメリカの大恐慌から学ぶ

 ・1930年代アメリカ 

  失業率の上昇(1929年3.2%→1931年16.3%→1933年25.2%)

  所得の減少(1929年のGNPは203.6→1931年169.5→1933年141.5)

  →政府支出を削減(財政均衡を重視、所得減少の痛み分け的思考)

  →マネーサプライ減少・利子率低下・物価水準低下(デフレ)が発生、なぜか

 ・ISーLM曲線で読み解く

  ①IS曲線へのショックの可能性

   所得(Y)と利子率(r)が両方下落により、IS曲線が左シフト

   ※政府支出の減少、株式市場暴落などが理由

  ②LM曲線へのショックの可能性

   マネーサプライが減少し、LM曲線が左シフト

   ※しかし実質貨幣残高は若干増加しており、利子率が上がっていないとおかしい

 ・デフレの不安定効果(予想外のデフレ)

  デフレは貸し手に有利であり、購買力が貸し手に移転

  借り手は支出削減し、貸し手は支出増加

  IS曲線が左シフトし所得Yは減少

  ・デフレの不安定効果(予想していたデフレ)

  IS曲線をフィッシャー方程式で捉える(i=r+Eπ r=i-Eπ)

  物価下落の中、個人は更なる物価下落を予想し期待インフレ率(Eπ)低下

  →実質利子率は上昇し、投資は減少

  IS曲線が左シフトし所得(Y)は減少

 ・大恐慌の誤りを教訓にする

  (マネーサプライ減少を放置、財政支出の縮減という誤り)

  →その後の世界金融危機やコロナ禍では、積極的な財政金融政策をするように

 

 今までは閉鎖経済における需要と供給を整理してきましたが、実際は他国との輸出入など開放経済がほとんどです。次回以降はその辺りを整理したいと思います。