「神山進化論」を読んでみました
仕事柄、勉強として「神山進化論」を読みました。
徳島県神山町について、皆さんはご存じでしょうか。私は、この本を上司におススメいただくまで、知りませんでした。実際に知らべてみると、自然豊かな環境で人が温かい、なるほどこれは人疲れしている現代人が求める環境でもあるなと思いました。
自然豊かなこの町が抱えていた問題と、その解決方法のユニークさは、きっと今後の地方創生に役立つ視点であると実感しました。
1 基本情報
◆書名 神山進化論
◆著者 神田 誠司
◆出版社 学芸出版社
◆出版日 2018年10月30日初版
内容はストーリー性があり、読みやすいものでした。自分なりに概要を少しご紹介します。
2 概要
◆日本は人口減少社会
・若者や子どもが少ないため、小中学校の統廃合が進む
・若年層が外に流出していく
・2015年の人口5,300人 ※1955年現在の4分の1
・高齢化率48%、20番目の消滅可能性都市
それが現在では・・・
・地産地消の推進(食を通じて地域をつなぐ、地域で作る集合住宅を建設)
・教育プロジェクトの推進
⇒IT企業などが集まり、若者の移住が進む
◆ここまで進んできた町の特徴
①よそ者にオープン
・ITインフラ整備の充実+町民の距離の近さ
→都会のようなワクワクする雰囲気
②グリーンバレー
・面白味の追求、アメリカとの国際交流、ALTの受け入れ
→毎年の繰り返しにより慣れていく
→国際交流村の形成
◆考え方のヒント
①結果でなくプロセスに着目
・神山町の住民が交流する機会を得ること
②”ない”ことを前提に考える
・贅沢な資産はない一方、心温かい人々は多くいる
⇒神山町の魅力を様々なプロジェクトを通して知る
⇒移住者も増え始める
◆人口減少の原因を探る
・神山町で人口が減る理由=仕事をするところがない
(移住者の働き場所がない)
※多くの過疎地域は農林漁業の担い手を求めるが、
その職種を希望する若者の数は限られている
⇒神山町にとって欲しい人材(移住者)を”逆指名”する
・自分たちの町に必要な職種等を募集した上で、相性が良い人を選ぶ
◆「創造的過疎」の思考
・人口減少は避けがたいことなので、数ではなく内容を変えていく
→人口構成を変えるため、多様な働き方を作る
→具体的な目標設定を立てる(15歳未満の子どもがいる4人世帯の受入数)
⇒バランスの取れた持続可能な地域つくりを行う
◆人を呼び込む企業誘致マインド
①地域貢献を考えなくて良い企業誘致
・成功モデルを町内で作ってもらうことで、新たな企業の誘致につなぐ
・空き家を回収し誘致企業が再利用しているので、既にそれが地域貢献である
②サテライトオフィスによる地元雇用の創出
・地元の価値に地域の人が再認識する
・この風土が住民出資の会社設立につながる
⇒地域貢献の意識が芽生えていく
企業ではなく人を誘致する”ヒトノミクス”
3 所感
「ヒトノミクス」は良い言葉ですよね。私が勤める地方自治体でもシビックプライドを醸成して定住人口を増やす取り組みを行っていますが、住民側としては「市は何がしたいのか、何をして欲しいのか分からない」感じで停滞しています...
神山町のように、人口減少という局面を迎え悲観するのではなく、”持続可能な都市にしていくためには何が必要なのか”を考える。その考えを数値化しながら目標設定し、官民連携で取り組んでいくことで、初めて住民も行政のビジョンを理解し、そしてその取り組みに巻き込まれていくことで地域の魅力に触れシビックプライドが形成されていくと...地盤が固い良い好循環が生まれそうですね。
今回ご紹介した内容は一部ですので、ぜひ皆さんも機会がありましたら読んでみてください。新たな発見と、この神山町に行ってみたくなると思います。