2児のパパによる「日常を楽しむ情報」ブログ

今日もお疲れ様です。ここでは、2児(6歳/3歳)の子育て中の30代パパが、「日常を楽しみながら過ごす」ことをモットーとしたブログです。”子育て・仕事”に役立つ情報を、週3回(月・水・金)で発信します。

地方公務員はどんな仕事をしているのか(2)

1 4年目〜7年目

 区の福祉課を3年で異動するのは当時稀であり、通常5年目の異動でした。私自身、毎年度の人事評価でA評価を受けてきましたが、A〜Eの人事評価の中で、A評価の上位層は他の評価と比べ翌年度の昇給が多いメリットはあるが、異動へ影響するとは考えていませんでし、事実影響していないと感じます。

 異動先は経済系の観光振興部署でした。4年目のミッションは、まさかの記念花火大会であり、今思えば福祉課など多忙な部署でも耐えられる若い人材が必要だったのかもしれません。慣れない本庁仕事の上に花火大会の準備となり、毎日辛い日々を送っていました。区役所とは違い本庁部署は窓口があるも、住民よりも圧倒的に関係業者が来庁します。業務も福祉課で使っていた福祉端末ではなく全庁共通の端末を使用し、縁のなかった文書起案や予算等の財務システムを使いこなさなければなりません。そこに花火大会の開催時期が迫っておりました。

 この部署は当時若手が私のみであり、ほぼ係長級で構成されていました。その為、普段の雑務もそうですが花火大会の業務でも面倒事は私が引き受け、地域住民や企業への説明や交通規制の警察折衝、打上現場や関係各所の作図などを取組みました。

 

2 考えが変わったきっかけ

 花火大会の準備は他の業務と並行して行われていたため、私は月100時間以上の残業をしていました。精神的にも身体的にも疲れていたある日、協賛金を企業に相談するために部長と車で向かう時、部長から「経済系のこの部署では前例踏襲ではなく、新しいことをどんどん取組みなさい」との言葉を頂きました。ルーティーンの雑務や花火準備も先輩から言われたことを単にこなしていた自分にとって、その言葉は私にとって激励でありました。そこで、花火大会では前の福祉部署で感じた全ての人に魅力あるものにするべく、前回大会では考えもされなかった障碍者専用の観覧席や、車移動が必要な方の駐車スペース確保などを提案し実現させました。この姿勢は、局長級など上層部に大変評価され、「上に立つ人物の器がある」との言葉もいただき、当時の私にさらに火がついたことを覚えています。

 花火以外の業務でも「前例踏襲せず革新的なことに取組む」姿勢は変わらず、長年踏みとどまっていた国際会議の誘致に係る庁内協力体制の構築、他の連携都市との協力による交流人口の拡大事業展開など、自分の役職に捉われず、例え相手が課長でも部長でも怯むことなく自分の考えとその実現可能性を理解してもらい、実績を積み上げてきました。気付けば異動して4年目になり、新しく異動してきた先輩後輩の指導もするようになり、上司の理解と協力により自分が働きやすい環境ができていたと思います。

 

3 市の仕事は何か

 しかし、私自身悩みはありました。4年目になると所属する観光部署だけでなく、経済企画や環境など他部署とチームを組んで仕事をする機会も増えました。その時に感じたのが、部署や職員によって温度感が違うことで、仕事の進捗スピードに差があることでした。そして、その都度私は「温度が低い部署はやり甲斐があるのか、何のために仕事をしているのだろうか」と苛立っていました。

 そんな時に思い返したのが、区役所の福祉課時代に体験した市の魅力でした。「私たち地方自治体の職員の役割は、住民にとって魅力的で住み続けたい都市に成長していくことではないのか」という気持ちが蘇ってきました。それと同時に、私が次に取組む仕事が「市の将来課題に対応する長期事業」となり、市の将来課題を整理すると近い将来人口減少局面を迎えることを知りました。

 「何とか人口減少を先送りにすることができないか」と考えていた私に、政策系大学院へ行ってみないかとの話が舞い込んできました。「大学院で地方行政等を学び、この市の将来課題に必要な取組を第三者視点で研究できるかもしれない」と思い、派遣を希望すると伝え、面接や論文等の審査も通過して無事派遣が決定しました。そして、大学院で様々な学問と他の地方自治体職員や国の職員と交流し、私が働く市に必要なマインドを培っている今に至ります。

 区役所や本庁、そして大学院派遣と環境が変われど、常に私は「この仕事は誰のためにしているのか、何を求められているのか」の信念を持っていたからこそ、それぞれの環境で必要な仕事をしてきたと思います。そして、その仕事に係る責任は年次を経ることに重くなりましたが、その重圧こそ市からの期待であり、それすら心地よく感じて過ごしていました。

 現在は「やり甲斐がないから転職する」、「承認欲求が満たされないから転職する」ことが増えてきてます。転職は環境を変える一つの方法ですが、それよりもまず取組んで欲しいのが「そもそも何がやりたかったのか」そして「それを実現するためには今の環境で何をすべきなのか」といった、目標からの逆算だと思っています。その結果が転職であれば転職先で成功すると思いますが、ただの現実逃避であれば、転職先でもきっと同じ思いをすると思います。このように思うようになったきっかけは私にはありました。日々楽しそうに仕事をしている人、前向きな人などに是非話を聞いてみると、自分に必要な答えが返ってくるかもしれません。私も、そんなきっかけを与えられる人間になれるよう努力していこうと思います。