2児のパパによる「日常を楽しむ情報」ブログ

今日もお疲れ様です。ここでは、2児(6歳/3歳)の子育て中の30代パパが、「日常を楽しみながら過ごす」ことをモットーとしたブログです。”子育て・仕事”に役立つ情報を、週3回(月・水・金)で発信します。

【第5回】マクロ経済学について

 前回の貨幣システムで少し登場したインフレについて整理したいと思います。

 

1 貨幣数量説

 ・数量方程式

  貨幣の3機能の1つ:決済(交換)手段

  取引が増えると貨幣への需要が増える

  →貨幣供給量(M)×貨幣の流通速度(V)=貨幣水準(P)×実質GDP(Y)

  ※貨幣供給量:マネーサプライ

  ※貨幣の流通速度:一定期間に貨幣がどれくらい使われたか

  ※価格水準:GDPデフレーター

  ※PY=名目GDP

 ・実質貨幣需要関数

  人々がどれくらいお金を保有したいか

  貨幣の「交換(決済)手段」としての機能

  →(M/P)d乗=k Y

   ※k=「マーシャルのk」

    1単位の所得(生産)に対し人々がどの程度手元に貨幣を保有しておきたいか

  →人々が貨幣を手元に多く保有する場合は、マーシャルのkが大きくなる

   しかし、貨幣が使われる頻度が低くなるため、流通速度(V)は小さくなる

 ・流通速度が一定であれば、マネーサプライ(M)が名目GDP(PY)を決める

 ・長期の生産は資本や労働、生産技術で決まる

 →VもYも一定になるため、マネーサプライ(M)が物価水準(P)を決める

 物価上昇率=インフレ率(π)

  →π=ΔM/M(インフレ率とマネーサプライ伸び率は正比例)

  アフリカ諸国にように、中央銀行が政府指揮下にある場合、

 マネーサプライ供給増加により激しいインフレ状態に陥り、国民が苦しむ傾向

 

2 名目利子率、実質利子率、インフレ

 ・名目利子率:借り手が支払う利子率

 ・実質利子率:物価の変化を織り込んだ利子率

  →フィッシャー方程式:実質利子率(r)=名目利子率(i)–インフレ率(π)

 ・インフレ率が高くなると、名目利子率も高くなる=フィッシャー効果

 ・インフレ率の事前と事後が重要な視点

  →事前:契約前に貸し手と借り手がインフレ率を予想するため、より厳密

      期待インフレ(Eπ)は、「i=r+Eπ」の関係

  →事後:実現したインフレ率(π)

      事後は「i=r+π」の関係

 

3 利子率と貨幣需要

 ・名目利子率は貨幣保有機会費用である

  ※機会費用:何かの行動によって失うコスト

   お金として持っていると、銀行に預けていた場合貰えた利子がもらえない

  →名目利子率が上昇すると、機会費用が増える

   そうすると、タンス預金が増えることになるため、貨幣需要は低下する

 貨幣需要は、所得(Y)、実質利子率(r)、期待インフレ率(En)で決まる

  →貨幣需要((M・P)d乗)=L(r+En,Y) ※Lは流動性を表す

 ・需要と供給は等しくなるよう動く

  →M/P=(M・P)d乗)

 ・期待インフレ率が一定の場合、需要は変わらない

  そのため、マネーサプライが増えれば物価水準が上がる

 ・期待インフレ率が上昇した場合、名目利子率(r+En)が上がるため、

  マネーサプライが一定の場合、物価水準が上がる

 例)中央銀行のマネーサプライ供給増を受けて、国民が期待インフレ率を上昇させる

  と、マネーサプライを変えずとも物価水準は上がってしまう

 

4 古典派の二分法

 ・実質変数:貨幣ではなく、物理的な単位で測定できる変数

       (実質GDP、資本ストック、実質賃金)

 ・名目変数:貨幣を単位として測定できる変数

       (物価水準、インフレ率、名目賃金

 ・古典派の二分法

  実質変数と名目変数は別々に決定

  →実質変数は名目変数の影響を受けない

  →貨幣の中立性:マネーサプライは実質変数に影響を与えない

   (マネーサプライを増やす金融政策でも、実質GDPは増えない)

   ※長期の分析において

 

5 インフレ・デフレ

 ・インフレの良し悪しは、実質賃金次第

  →実質賃金は、労働の限界生産力(MPL)で決まる。

  長期では価格水準が上がれば比例して実質賃金も上がりインフレは問題ないはず

 ・インフレになると、銀行に預けずにお金を持つようになる

  (名目利子率が上がり、貨幣需要が下がるため)

 ハイパーインフレーション

  1ヶ月あたり50%を超えるインフレであり、様々なコストが極端に高くなる。

  原因は深刻な赤字財政であることが多い。

  例)WWⅠ後のドイツ

   (多額の賠償金を支払うために貨幣を大量印刷したが、GDPに見合わなかった)

 ・デフレ(持続的な物価下落)

  ものが売れず失業者が増える状況は問題だが、失業者が増えないデフレはどうか

  →所得の再分配が貸し手と借り手の間で生じる(デフレは貸し手に有利)

  →物価下落を予想することで買い控えが発生

   ものを売るために更なる価格下落が発生し、元に戻る

  →実質金利の上昇による投資意欲の減退(r=i–En)

   デフレでは、期待インフレ率(En)がマイナス

   名目利子率はゼロにできない(ゼロ金利制約)ため、実質利子率は高止まり

   実質利子率(r)が高いと、企業投資は減少(投資は実質利子率の減少関数)

 

6 インフレ率

 ・日銀が示す、物価上昇率2%目標はどうか

  消費者物価指数の上方バイアス

   CPI:消費者が購入する財・サービスのみ対象

      基準時点の数量で評価(ラスパイレス型指数)

      インフレ率を高めに設定しがち(物価変動を考慮しないため)

   GDPデフレーター:全ての財さ・サービス対象

            調査時点の数量で評価(パーシェ型指数)

            インフレを低めに評価しがち

  金利引下げの「のりしろ」

   景気に中立的な金利水準は、経済が持つ潜在成長力と平均的な物価上昇率で決定

   物価上昇を実現し、金利引下げ余地を確保することが必要

 ・2%はグローバルスタンダード

  インフレ率が浮ついている国では、この水準は適さない

 

今回はインフレについて整理しました。この辺りに触れると、日銀総裁の発言などが分かってきますね。次回は、経済成長について整理したいと思います。