【第2回】マクロ経済学について
今回は、テレビなどでよく聞く「GDP」を中心に整理したいと思います。
1 導入
・国全体の経済活動を示すデータ
国全体の生産、支出、所得水準を示す
経済規模や経済成長率を表すために使用される基本的データ
・物価動向(インフレ/デフレ)を示すデータ
→GDPデフレーター 経済全体の物価指標
→消費者物価指数(CPI) 消費者の生計費
・雇用や失業状況を示すデータ
→完全失業率 求職しても職を得られない者の比率
→有効求人倍率 求人数と求職数の比率、就職しやすさの目安
・ストックとフロー
→ストック 一時点で測られた量(現在の貯蓄はいくらか)
→フロー 一定時間あたりで測られた量(1年間の給与はいくらか)
フローが入ればストックが増える、ストックから出ていくものもある
2 GDP(Gross Domestic Product)
・GDP統計は、SNAの一部
※SNA(System of National Accounts)国民経済計算体系
基礎統計を基に推計し、フローやストック双方カバーする統計体系
景気判断、経済見通しなどに活用
・SNAの体系
各種の基礎統計を基に作成される「加工統計」
一国経済の動向を生産、分配、支出、資本蓄積、ストック面から記録
・GDP
一定期間に国内で生み出された付加価値の総額
→付加価値=産出額-中間投入
※イメージでは、”付加価値”=”アウトプット”-”インプット”
・三面等価
生産面、分配(所得)面、支出面の三面から捉えることができる
→生産面(国内産出額)
色々な産業の付加価値を足し合わせたもの
利益は何かしらの形で配分される(給与や税金)
それらの合計は付加価値の合計と同じとなる
→支出面(国内総支出(GDE))
中間投入は含まず、新しく生み出された価値のみ
・生産面からのGDP
産業構造がわかる、国が経済発展していく過程で構造変化が生じる
県民経済計算でも分析することができる(付加価値によりけり)
例)鹿児島県 黒毛和牛は付加価値が高いためGDP高い
・支出面からのGDP
国内総生産(Y)=消費(C)+投資(I)+政府支出(G)
※貿易がある国では、+純輸出(NX)
※NXは(輸出(EX)− 輸入(IX))
価格、数量のどちらが増加しても増加
数量(生産量)の変化を示す
→GDPデフレーター 物価の変動を示すもの
例)2020年 A商品(価格:300円、生産:10個)
B商品(価格:100円、生産:30個)
2021年 A商品(価格:400円、生産:20個)
B商品(価格:150円、生産:40個)
→名目GDP2020=300×10+100×30=6,000円
名目GDP2021=400×20+150×40=14,000円
→実質GDP2020=300×10+100×30=6,000円
実質GDP2021(2020年基準)
=300×20+100×40=10,000円
→2020年デフレーター 6,000/6,000=1.0
2021年デフレーター 14,000/10,000=1.4
・GDPは国内生産活動により生じた付加価値
・国民総所得(GNI(Gross National Income))
国内居住者により受け取られた所得総額
※居住者:6ヶ月以上の期間居住している全ての人(国籍不問)
・物価の変動を考慮するものが名目GDP、考えないのが実質GDP
・経済指標の季節性を考慮するのが季節調整系列、しないのが原系列
成長率は原系列は前年同期比で、季節調整系列は前期比で見る
3 物価
・消費者物価指数(CPI)
消費者が購入する財やサービスの価格
総合指数、生鮮食品を除く総合指数(コア指数)がよく使われる
※さらにエネルギー等を除く指数(コアコア指数)もある
→平均的消費生活を想定して消費財の組み合わせる(バスケット)
→基準時点を設定し、バスケットの中身は不変(一定)と仮定
→調査時点でのバスケットの対象となる財の価格を調査
→調査時点での当該バスケットを購入する場合の支払額を、
基準時に同様のバスケットを購入する場合の支払額と比較し指数化
→調査時物価でのバスケット購入費÷基準時物価でのバスケット購入費
・CPIとGDPデフレーターの関係
CPI:消費者が購入する財やサービスのみ対象
基準時点の数量で評価(ラスパイレス指数)
インフレを高めに評価しがち(物価変動も同数量で計算考慮)
GDPデフレーター:全ての財・サービス対象
調査時点の数量で評価(パーシェ型指数)
インフレを低めに評価しがち(物価変動あり)
4 雇用
・就業者(=従業者+休業者)
従業者
調査週間中に給料、諸手当など収入を伴う仕事を1時間以上した者
家族従事者は無給であっても仕事をしたとする
休業者
仕事を持ちながら仕事をしなかった人の内、給与等の支払いない者
育児休業や介護休業などが対象となる
・完全失業者(以下の3条件)
仕事がなくて調査週間中に仕事を少しもしなかった者
仕事があればすぐに就くことができる者
調査週間中に、求職活動や事業開始準備をしていた者
15歳以上の人口の内、就業者と完全失業者を合計した者
・非労働力人口
15歳以上の人口の内、就業者と完全失業者以外の者
例)フルタイム学生、専業主婦、高齢者、就労意思ない者
・(完全)失業率
労働力人口の内、失業している人の割合
・労働力人口比率(労働参加率)
15歳以上人口の内、労働力人口の割合
→人口高齢化により、非労働力人口が増加し労働参加率は低下傾向
→近年では、人手不足が顕在化したため、労働参加率が上昇
→不景気になると労働参加率が上昇(労働の必要性が高まるため)
・男性の労働力人口比率は低下傾向、女性の労働力人口比率は上昇傾向
GDPが分かると見えるものが違ってきますね。
次回は、さらに細かく見ていきたいと思います。